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コンプライアンスに強い中川総合法務オフィスは知財とリスク管理を専門とするコンプライアンスプロフェッショナルオフィスです。

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〒617-0812 京都府長岡京市長法寺川原谷13-6

コンプライアンスに強い中川総合法務オフィスは、知財とリスク管理を専門とするコンプライアンスプロフェッショナルオフィスです。

企業コンプライアンスの現代的展開(続出する企業不祥事に対する新規制)

  • 企業コンプライアンスは新段階へ

    (1)大きな企業不祥事の連続発生

    ・「ベネッセコーポレーション」個人情報の漏えい2014年7月

     通信教育大手「ベネッセコーポレーション」(岡山市)から顧客情報が大量に流出した。原因は、個人情報管理の甘さである。この情報は、社内データベース(DB)を管理する下請け業者で派遣社員のシステムエンジニア(SE)が、外部に持ち出したようである。すでに、2000万件以上になるかもしれない大量の顧客情報の全部または一部がコピーされ、名簿業者に出回っている。それを買った会社に、ジャストシステムがある。この会社への風当たりも強くなっている。

    ・アクリフーズ農薬混入事件

     アクリフーズ(現・マルハニチロ)群馬工場製造の冷凍食品に農薬のマラチオンが混入された事件で、平成25年12月の発覚後に自主回収(リコール)が実施され、2014年1月に同社で勤務していた契約社員の男が偽計業務妨害罪で逮捕された。当初アクリフーズは「マラチオンに急性症状は無く体重20キロで一度に60個を食べないと健康には影響ない」と説明していたが、数日後にアクリフーズ親会社であるマルハニチロ食品の親会社マルハニチロホールディングスは記者会見し「(商品を)8分の1個食べただけで吐き気などの症状がおきる可能性がある」(体重20キロ)と厚生労働省から指摘を受け、撤回した。これらの対応に批判が集まり、結局、マルハニチロHD社長及び同社品質保証担当常務とアクリフーズ社長が辞任した。


    ・みずほ銀行と反社会的勢力取引

     平成25年9月に、金融庁はみずほ銀行及びみずほフイナンシヤルグループに対して、反社勢力との取引防止・解消のための抜本的な対応を行ってこなかったとして業務改善命令を発令した。処分の対象となったのは、関連会社である信販会社経由の提携ローンについて、事後的なチェックにおいて融資先に反社勢力の存在を確認した以降も対策の実施が十分になされていなかった点等である。結局、みずほ銀行前頭取であるみずほフィナンシャルグループ会長が辞任している。


    ・食品誤表示事件

     食品誤表示事件は平成25年10月に阪急阪神ホテルズが7年以上にわたり利用客に対してメニューと異なる食材を提供し続けたことを公表し、1週間を待たずして同社社長が辞任表明を余儀なくされた事案に端を発し、多数のホテル、百貨店等による使用食材や原産地の誤表示の公表が続いた事案である。このような使用
    食材や原産地の誤表示は、農水省のガイドラインに反し、場合によっては不正競
    争防止法や景品表示法違反が問題となる。


    (2)会社法改正(コンプライアンス関連を中心として)平成26年6月20日成立

    ・企業集団の業務の適正を確保するために必要な体制の整備

     取締役又は取締役会は、株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備についての決定を各取締役に委任することができない(第三百四十八条第三項第四号、第三百六十二条第四項第六号及び第四百十六条第一項第一号ホ関係)

     ⇒アクリフーズ農薬混入事件やみずほ銀行反社会的勢力取引事件などの法令違反等は、上場企業自体ではなくその子会社や孫会社において発生しているのであるので、この規制はその事例に一定の効果を持つであろう。

    ・監査等委員会設置会社の取締役会の権限等

     取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

    ・社外取締役を置いていない場合の理由の開示

     事業年度の末日において、監査役会設置会社(公開会社かつ大会社に限る)であって、株式につき有価証券報告書を提出しなければならないもの(上場会社等)が社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならない(372条の2)。

    ・監査等委員会設置会社制度

     新機関設計として、監査等委員会設置会社制度が導入され、そのメンバーである監査等委員は取締役で、その過半数は社外取締役である必要がある(399条の2第2項、331条6項)。

    ・多重代表訴訟

     親会社の株主が、子会社の役員等の責任を追及する制度(多重代表訴訟制度)が導入される。多重代表訴訟の要件は、「完全親子会社関係の存在」、「最終完全親会社等(企業集団の最上位にある完全親会社等)の議決権の100分の1以上又は株式の100分の1以上の保有(847条の3第1項、第6項)」「責任原因事実の発生日における、最終完全親会社等が保有する(完全子会社を通じた間接保有を含む)株式の帳簿価額が、当該最終完全親会社の総資産額の5分の1を超える(847条の3第4項)ことである。


    ・旧株主による責任追及等の訴え

    、株式交換、株式移転及び合併により株主でなくなったとしても、当該時点で役員の責任の原因たる事実が生じていた場合は、株式交換等の後でも子会社の役員責任追及が可能である(第八百四十七条の二第一項関係)。


    (3)金融商品取引法の改正 平成25年6月成立

    ・AIJ投資顧問会社の年金資産消失事件
     
     同社は、外国籍ファンドを通じたデリバティブ取引等により大きな損失を出していたにもかかわらず、顧客に対し、240%の運用利回りを確保していると説明してきたが、2012年1月下旬の証券取引等監視委員会の検査により、運用資産の大部分が消失していることが明らかとなった。金融庁は、証券取引等監視委員会の行政処分勧告を待たず、同年2月24日付で金融商品取引法に基づく1か月の業務停止命令を出した。また、2012年6月19日、警視庁捜査第二課は、虚偽の運用実績を示して二つの年金基金から約70億円をだまし取ったとして、詐欺容疑で役員等4人を逮捕した。12月18日に東京地裁は、懲役15年、懲役7年等実刑判決を下し、同時に3人に対して追徴金として計約156億円の支払いと、香港の銀行に預けられているAIJ子会社の預金計約5億6800万円の没収を命じた。 
     この事件を受けて、金融庁は罰則を引き上げる等の金融商品取引法改正を行った。

    ・公募増資インサイダー取引事案
     上場会社の公募増資に際し、引受証券会社からの情報漏えいに基づくインサイダー取引事案であり、平成24年8月には、金融庁が複数の上場企業の公募増資案件の引受主幹事証券会社であった野村鐙券に業務改善命令を行っている。野村鐙券の事案では、親会社の経営トップも辞任している。
     
     そこで金融庁は今まで処分の対象となっていなかった、インサイダー情報の伝達行為やインサイダー情報を踏まえての取引推奨行為を、一定の要件の下で処罰の対象に加えることとした。


    (4)消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(日本版クラスアクション、消費者集団訴訟)平成25年12月

     消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害について、消費者と事業者との間の情報の質・量や交渉力の格差により、消費者が自ら回復を図ることには困難を伴う場合がある。そのため、財産的被害を集団的に回復するための裁判手続を創設し、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする(法律第1条)。適格消費者団体(消費者契約法に基づき差止請求権を行使できる団体。現在全国で11団体が認定されている。)の中から、 法律第65条所定の新たな要件を満たすものを内閣総理大臣が認定し、その団体が特定適格消費者団体として、新たな訴訟制度の手続追行主体となる。

     食品誤表示問題による消費者被害の救済等に本制度が活用できる可能性がある。


    (5)景品表示法の改正 平成26年6月

     食材の虚偽表示問題を受け、不当表示をしている業者に対する都道府県などの権限を強化する。
    事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、景品類の価額の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項及び商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
    また、不当表示への対応を迅速化するため、不当表示をしている業者に対し、これまで消費者庁に限られていた、再発防止などを求める措置命令を都道府県も出せるようにする。経済産業省や農林水産省などが、それぞれ所管するホテルや飲食店、百貨店などを調査もできる。


    (6)外国の法制とコンプライアンス

    ・法令遵守は、会社経営の基本である。……取締役に対し、我が国の法令に遵うことを求めているだけでなく、外国に支店、駐在事務所等の拠点を設けるなどして、事業を海外に展開するに当たっては、その国の法令に遵うことは……取締役の善管注意義務の内容をなす(大和銀行事件 大阪地判平成12年9月20日)。

    ・米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)や英国の反贈収賄法(ABA)への対応から、新興国における贈賄防止の体制構築を求められてきている。


    ※不正競争防止法の改正(1998年)
     平成25年9月に、大手自動車メーカー系の部品メーカー元役員が、中国における外国公務員への贈賄を理由として、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)容疑で愛知県警に逮捕されている。  
  • 反社会的勢力への対応:(1)全都道府県に暴力団排除条例が施行 (2)暴力団対策法の施行 (3)警察による「暴力団排除等のための部外への情報提供について(平成25年12月19日)」通達 (4)事実上「融資は受けられない。マンション・駐車場は借りられない。自動車は買えない。ゴルフはできない。元暴力団5年規制を銀行をはじめ多くの企業が適用する」(5)暴力団員は6万人弱で減少傾向にある (6)暴力団員に該当しない反社会的勢力は、暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人で「暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぽうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団」がある(企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針 法務省平成19年) 

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