【著作権法の概略…ポイント10項目】
1 著作権の内容 著作物…思想又は感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの 著作者…著作物を創作する者 著作者の権利 ・著作者人格権…公表権・氏名表示権・同一性保持権 ・著作権(財産権) …複製権(-出版権)、上演権、演奏権、上映権、公衆送信権等、口述権、展示権、頒布権(映画)、譲渡権(映画以外)、貸与権(映画以外)、翻訳権、翻案権等、二次的著作物の利用に関する権利
2 著作権の制限 @私的使用関係 A教育関係…教科書等への掲載、学校教育番組の放送等、学校その他の教育機関での複製、試験問題としての複製 B図書館関係 C福祉関係…点字による複製等、聴覚障害者のための自動公衆送信 D報道関係等…政治上の演説等の利用、時事の事件の報道のための利用、情報公開法等による開示のための利用 E立法・司法・行政関係 F非営利無料の上映等関係 G引用・転載関係…引用、時事問題に関する論説の転載等 H美術・写真・建築関係…美術の著作物等の原作品の所有者による展示、公開の美術の著作物等の利用、美術の著作物等の展示に伴う複製 Iコンピューター・プログラム関係 J放送局・有線放送局関係
3 保護期間 原則は創作時より死後50年(映画は70年に法改正)
4 登録 無法式主義、
実名の登録、第一発行年月日の登録、創作年月日の登録、著作権譲渡・質入れの登録プログラムの登録、出版権の登録、著作隣接権の登録
5 出版権
6 著作隣接権制度…保護期間は50年 ・実演家の権利…実演家人格権(氏名表示権、同一性保持権)、著作隣接権(録音権・録画権,放送権・有線放送権、送信可能化権、貸与権-1年間、放送2次使用料を受ける権利、譲渡権、貸レコードについて報酬を受ける権利-49年間) ・レコード制作者の権利…著作隣接権(複製権、送信可能化権、貸与権-1年間、放送2次使用料を受ける権利、譲渡権、貸レコードについて報酬を受ける権利-49年間) ・放送事業者の権利…著作隣接権(複製権、再放送権・有線放送権、送信可能化権、テレビジョン放送の伝達権) ・有線放送事業者の権利…著作隣接権(複製権、放送権・再有線放送権、送信可能化権、有線テレビジョン放送の伝達権)
7 権利侵害に対する救済 ○民事上の救済(差し止め請求、名誉回復等の処置の要求、損害賠償請求、損害立証書類提出命令、不当利得返還請求など) ○刑事上の制裁(5年以下の懲役又は500万円以下の罰金他)
みなし侵害 紛争解決あっせん制度
8 国際条約 ベルヌ条約(WIPO)、万国著作権条約(ユネスコ)、レコード保護条約(WIPO、ユネスコ)、実演家等保護条約=ローマ条約(WIPO・ユネスコ・ILO)、WTO協定=TRIPs協定
9 著作権等に関する契約 @著作物の創作時の契約…著作物を創作する際の契約、著作物の創作を委託する場合 A著作物等の利用時の契約等…他人の著作物を利用する方法、権利者の了解を得ずに利用できる場合、著作物等の利用に関する時の契約
10 著作権等管理事業者
著作権の集中管理、著作権等管理事業者の登録、著作権等管理事業者の義務等
■第165回国会で成立した「著作権法の一部を改正する法律」
趣旨:著作物の適切な保護と活用を図り、「知的財産戦略」を推進するため、緊急の課題であるIPマルチキャスト放送の著作権法上の取扱い等に関する所要の法整備を行う。
「放送の同時再送信の円滑化」については、2007年1月11日から施行。「時代の変化に対応した権利制限等」、「著作権等保護の実効性の確保」については、2007年7月1日に施行。
1 「放送の同時再送信の円滑化」
これまでIPマルチキャスト放送(電気通信役務利用放送法に基づくIPマルチキャスト技術を用いた有線電気通信の送信)による放送は「通信」行為に分類され、地上波などの番組をIP放送事業者が受信し、リアルタイムに再配信するには、事前に俳優やレコード会社の許諾を得ることが必要で手続きが煩雑だった。
IPマルチキャスト放送は、放送される番組が不特定の受信者の手元に同時に届くものではなく、求めに応じて個別に送信されるので、「インターネット送信」と同様に「自動公衆送信」の概念で位置づけられ、著作権法上の「放送」には該当しないものである。
そこで法改正により著作権隣接権者に対する許諾はCATVと同様に不要となり、2011年の地上デジタル放送への全面移行に伴って難視聴地域での活用が想定されるIP放送の円滑な普及が期待される。
つまり、具体的には実演家やレコード製作者の許諾権をIPマルチキャスト放送による同時再送信に対しては制限し、「補償金」の制度をもって運用できるように改正し、有線放送による同時再送信については、これまで、実演家やレコード製作者が無権利であったのに対し、これに「報酬請求権」を付与することで、有線放送とIPマルチキャスト放送とのバランス調整実施した。
※なお、著作者の許諾権は制限されていません。
★条文関係
○(第三十八条関係)
放送される著作物等は、非営利かつ無料の場合には、専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として、自動公衆送信することができることとすること。
○(第九十四条の二関係)
放送される実演を有線放送した有線放送事業者は、実演家に報酬を支払わなければならないこととすること。
○(第九十五条及び第九十七条関係)
商業用レコードを用いた放送又は有線放送を受信して放送又は有線放送を行った放送事業者等は、実演家又はレコード製作者に二次使用料を支払わなければならないこととすること。
○(第百二条関係)
放送される実演又はレコードは、専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として、送信可能化することができることとするとともに、当該送信可能化を行う者は、実演家又はレコード製作者に補償金を支払わなければならないこととすること。
2「時代の変化に対応した権利制限等」
様々な社会のニーズ等を踏まえて、以下の利用行為について、著作権者に無許諾で行えるようにする。
ア 視覚障害者に対する「録音図書のインターネット送信」
イ 「特許審査」等における文献の複製
ウ 「薬事行政手続」における文献の複製
エ 機器の「保守・修理」等におけるバックアップのための複製
★条文関係
○(第二条関係)
同一構内の無線通信設備による送信について、公衆送信の範囲から除外すること。
○ (第三十七条関係)
視覚障害者情報提供施設等は、公表された著作物について、専ら視覚障害者の用に供するために、録音図書を用いて自動公衆送信することができることとすること。
○ (第四十二条関係)
著作物は、特許や薬事等に関する審査等の手続のために必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができることとすること。
○ (第四十七条の三関係)
記録媒体を内蔵する機器の記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度における保守若しくは修理又は当該機器の欠陥等による交換のため、一時的に複製することができることとすること。
3「著作権等保護の実効性の確保」
先の通常国会で行われた産業財産権制度との調和を踏まえて、輸出行為の取締りと罰則の強化を図る。これまで模倣品・海賊版の「輸入」が国際取引に関連した取締対象だったが、2007年1月からは「輸出」も対象となる。
○ 輸出行為の取締り
著作権等の侵害品の「輸出」及び「輸出を目的とする所持」を取締りの対象とする。
★条文関係
○(第百十三条関係)
著作権等を侵害する行為によって作成された物を、情を知って業として輸出し又は輸出目的で所持する行為を侵害とみなす行為とすること。
○(第百十九条及び第百二十四条関係)
著作権、出版権及び著作隣接権の侵害に係る刑事罰について、懲役刑及び罰金刑の上限を引き上げるとともに、法人処罰に係る罰金刑の上限を引き上げること。
○(第百二十四条関係)
秘密保持命令違反に係る刑事罰について、法人処罰に係る罰金刑の上限を引き上げること。
<個人罰則> 懲役刑: 5年以下から10年以下、罰金刑: 500万円以下から1,000万円以下
<法人罰則> 1億5,000万円以下から3億円以下
★附則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十九年七月一日から施行する。ただし、第一条及び附則第四条の規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
【著作権の質問と回答集…中川総合法務オフィスへの著作権無料相談から】
◆「質問」…機械・ソフトによる翻訳は二次的著作物となるのでしょうか?】
「回答」⇒アセンブリ言語によって書かれたプログラムをアセンブラにより変換した場合と,高級言語で書かれたプログラムをコンパイラにより変換してオブジェクト・プログラムを作成した場合は,創作性の加わる余地がなく,したがって二次的著作物は生成されず,結果的には単なる複製にすぎない。
現行著作権法は,翻訳はすべて人間が行なっていた時代にできた法律である。翻訳は必ず翻訳者という人間の創作性が加わって生成されていたので,翻訳物は必ず二次的著作物になり,二次的著作物の著作者が存在した。 ところが現代は,翻訳が機械によって自動的に行なわれるようになった、 この場合にはプログラムにおける議論と同じように、機械による翻訳は創作性の加わるものでないから、言語体系の変化という外形的変化があるので翻訳ではあるが,二次的著作物にはならないと解すべきである。
◆「質問」…【顧客データベースの著作権者は誰か?】…法的紛争なっているケースが多い
「回答」…顧客データベースで近年急速に普及しているものに、販売時点情報管理(Point of sale、略称POS)がある。これは、物品販売の売上実績を単品単位で集計する手法で、商品名や価格、数量、日時のほか購入者の年齢層、性別などの販売実績情報を収集しデータベース化することによって顧客管理と販売の促進に役立つ。コンビニ他で利用されている。
この場合に、店長などの業務の責任者が,レジを操作しているアルバイトなどを手足として,法人の業務に従事させており、顧客データベースという著作物を責任者が職務上作成しているので、法人著作の規定が適用されて,当該法人が顧客データベースの著作者になると考えられる。 個人経営の店舗であれば,個人経営者が、従業員を使用して、POSシステムにより顧客データベース作成したのでその個人経営者が著作者となると解される。
よって、データベースのレンタル業者などで顧客情報をロックしてリース終了時にその抜き出しを認めないのは刑事上も民事上も責任が生じると解される。
◆「質問」…イニシャル・アレンジとはなんですか。音楽のことばみたいですが。
「回答」…イニシャル・アレンジとは、楽曲が最初に公表されたときの編曲のことです。
例えば、ジャスラック(日本音楽著作権協会)の信託契約においては、編曲作品について、「編曲審査委員会」の審査で、編曲届および作品届・原曲譜・編曲譜の提出で、必要に応じて原曲の著作権者から承認のもとで契約して分配金を受け取れますが、それとは異なり、このイニシャルアレンジ=公表時編曲をしたものには、カラオケ歌唱による演奏使用料の1/12が分配されるのです。しかし、JASRACの会員・信託者でないものは制度の適用を受けることはできません。
また、業界では編曲の「オリジナルスコア」とも呼ばれます。
一般に、編曲者の業界での扱いは低く、編曲は契約書なしのバイアウトが非常に多いです。しかも、メジャー発売の曲でさえアレンジャーへの支払が10万円あるかどうか。
しかし、作曲家ですと名乗っているタレント歌手がいますが彼らは適当な鼻歌しか出来ないのに実力のある編曲者が作品を仕上げて世に受け入れられるケースが実際は多いのですよ。
そこで、1995年に日本作編曲家協会(JCAA)…会長 服部克久さん…が編曲著作権に関する宣言を出してその財産権と人格権を守れといっていたのでした。
苦労して編曲した人の著作物を勝手に利用して知らん顔している人は音楽業界で仕事をしていていいのでしょうか。義憤を感じる今日この頃です。
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