※コンプライアンス概念
コンプライアンス (Compliance) とは、「(要求・命令などに)従うこと、応じること」で、今日では「企業活動における法令遵守」を意味する。(服薬コンプライアンス、物体の伸縮性・可塑性は別概念)
企業統治(コーポレートガバナンス)が上位概念であり、ビジネスコンプライアンスともいう。CSR(企業の社会的責任)、企業倫理(ビジネスエシックス)も同位概念である。
株式会社においては、商法(会社法)上取締役ないし執行役の義務(法定責任)として規定されている。理論的には善管注意義務(330条)ないし忠実義務(355条)の発現とされ監査役等も同様の義務を負っている(330条)。
企業も社会の構成員の一人として商法(会社法)だけでなく民法・刑法・労働法といった各種一般法、その他各種業法をすべて遵守し、従業員一同にもそれを徹底させなければならないとされ(348条3項4号、362条4項6号)、特に大会社については、内部統制システム構築義務が課されている(348条4項、362条5項)。
コンプライアンス違反をした企業は、損害賠償訴訟(取締役の責任については株主代表訴訟)などによる法的責任や、信用失墜により売上低下等の社会的責任を負わなければならない。
「コンプライアンスとは法令遵守とイコールではなく、法令の遵守を含めた『社会的要請への適応』である」という考え方(郷原信郎)が唱えられているは、中川総合法務オフィスの考え方に近い。
つまり、企業の存在には、利潤の追求だけでなく、食品メーカーであれば「安全な食品を供給してほしい」、放送局であれば「歪曲されていない、良質な番組を流して欲しい」など、社会からの潜在的な要請があり、各種法令にも、制定に至るまでには社会からの要請がある。法令は常に最新の社会の実情を反映できているわけでなく、司法もまた万能ではない。故に、単に法令のみの遵守に終始することなく、社会からの要請に応えることこそがコンプライアンスの本旨であるという考え方である。
■日本企業においてコンプライアンス違反が生じた事例(2000年以降)
製造業を中心として行われている偽装請負 いわゆるサービス残業 下請け会社に対する代金の不当な値引きなど、いわゆる『下請けいじめ』 企業による脱税・申告漏れ・所得隠し
コムスンなど介護サービス大手で発覚した大規模な介護報酬の不正請求(コムスンは厚生労働省より4年6ヶ月の間事業所の更新不可処分受ける)
雪印集団食中毒事件 不二家・石屋製菓・赤福等における期限切れ原材料使用製品の出荷・使用・ラベル張り替え等 船場吉兆は民事再生法適用申請、さらに廃業に) 原材料・産地の意図的な偽装
雪印牛肉偽装事件 ミートホープの意図的な虚偽原材料の使用製品の出荷 保険業界の保険金不払い事件
三菱リコール隠し・三菱ふそうリコール隠し 土壌汚染問題 三菱地所のマンションOAPや両備の小鳥が丘住宅団地
■コンプライアンス違反が起きやすい環境および体質
拝金主義(金儲け主義)(消費者軽視で利益最優先) 秘密主義(隠蔽体質、閉鎖的な体質)
一族(同族)経営(独裁的な体質の場合) 上層部が絶対的な権力を持っている。 自己中心的な幹部、社員、職員が多い。 善悪の区別が付かない幹部、社員、職員が多い。
殿様商売(ブランド力に奢り高ぶっている)
コネ採用または天下り幹部が多い。 不祥事を起こした該当者に対する処分が甘い(信賞必罰の精神がない)。
精神論に終始したり、当該個人にのみ責任を追及し、組織的・構造的な問題の解決に取り組まない。 不祥事を告発した該当者に対して隠蔽のために処分を行う(懲戒解雇など、重大処分になるケースが多い。またはトナミ運輸のように告発した社員を30年近く閑職に追いやる、など)。
未上場企業(しかし最近は上場企業のコンプライアンス違反も多い。) 人材派遣(最近の都道府県労働局では偽装請負撲滅キャンペーンを行っている。)
(Wikipedia参照)
★★コンプライアンス経営とは何か★★
企業内における法令遵守活動が重要になってきました。これまでは、経費削減で「間接部門」の総務や法務部が人員削減してきていましたが、これからはここにも優秀な人材を入れて行かざるを得ないでしょう。欧米のように社内弁護士は当たり前になっていきます。また、法科大学院の隆盛に見られるように、社会の秩序が、伝統や慣習でなくて、法で解決する時代が本格的に訪れています。司法ネットが全国の裁判所内にできます。内部告発者の保護を図る法律もできました。
今後は、商法や証券取引法はもちろんのこと、企業活動の適法性=コンプライアンス(compliance)経営がその企業にとって、かっての環境保護活動以上に重要性を増してくるでしょう。電子メールの保存、電子帳簿の保存、e-文書法の活用等が現実の問題になってきています。
◆著作権コンプライアンス
著作権に関しては、内的側面と外的側面に分けて考えることが重要です。内的には、社内での著作権違反行為をなくすることと、社内の著作物の保管です。外的には秘密著作物の漏洩のリスクからの保護です。
社内の著作物の保護については、 (1)著作権者の表示のマルシーマーク=(C)を文書につける (2)公表の著作権・プログラム(創作は公表不要)を文科省・ソフトウエア情報センターに登録をする (3)未公表の著作物には公証人の確定日付をもらう
が今のところ最も有効でしょう。
これまで軽視してきた著作権の管理ですから、まず社内に担当者又は会議を設置することから始めます。そこに対して、私たち専門家を入れて社内規定を作っていけばいいのです。
まずは、就業規則に著作権保護を謳い、次に特別規定を作り、そこで細目を決定すればいいでしょう。責任者は法務部長クラスのものがなることが望ましく、しかし著作権法の細部には疎い方が大半ですから、実際の運営は研修を積んだものに任せるしかないでしょう。細目には、管理台帳の保管も大切ですし、重要な著作物は業務上の秘密に該当することも多いでしょうから、公証人の確定日付をとっておくといいでしょう。登録制度もありますが、プログラム以外は公表や権利移転が要件になります。 社内の監査に昇格すれば、監査役にも関与してもらうことになります。また、チェックシートを作成して定期的にコンプライアンスの洗い直しが必要になります。 年度末には、責任者の報告書が監査に関わらず必要になります。
このような、社内規定を作っても日常的に文書の作成や文献の参照・引用などをしているのは現場の社員ですから、社内教育がとても重要になってきますね。 中川総合法務オフィスでも、企業対象の著作権講座は頻繁に開いています。それなりに反響があります。4週連続の講座も実施しています。
さらに、おそらく企業によっては他者の著作物を使いたいときが出てきますが、著作権者が誰か分からないときが出てきます。その調査も専門家でないと難しいでしょうし、「裁定制度」の利用もやらざるを得なくなるでしょう。
このような、コンプライアンス経営に務めていても、契約書をができずに口約束であったとか、現場が違反行為で訴えられたとかが後を絶ちません。直ぐに専門家に相談することです。 顧問契約があれば即応体制が可能になります。
【企業におけるコンプライアンス経営】
●会社−従業員のコンプライアンス
会社の従業員がコンプライアンスを実践するには最低限の法律知識が必要です。例えば、民事一般法として民法、商法、刑法、経済法として金商法、独占禁止法、労働法、そして著作権法等の特別法等々です。
◎職場での不正行為 物品などは公私の区別をしっかり区別することから始めます。刑法上の窃盗罪、(業務上)横領罪などの財産犯に違反するおそれは多いでしょう。
◎労働法関係 まず、労働法=労働基準法の基本理解が必要です。自己の権利を知ることです。その上で会社の就業規則、懲戒処分に何があるか、職場での労働安全 衛生の遵守が大切です。いかなる場合に解雇になるか、整理解雇とは何か、配置転換・転勤・出向・転籍等についての正確な理解が大切です。懲戒解雇は特にどのような場合か理解しましょう。
◎環境法とコンプライアンス
環境基本法の考え方がまず一番大切です。省エネルギーや地球温暖化防止、廃棄物処理・リサイクル・グリーン購入、さらには公害防止のため大気や水の汚染、土壌の汚染、フロンの製造・使用の規制やフロンの回収が重要です。
◎消費者保護関連法の理解 消費者契約法、特定商取引法
◎経済法 まず、金商法です。そして独占禁止法、不正競争防止法の理解が必要です。勿論、知的財産法も関係します。不当な取引制限(カルテル)や不公正な取引に気をつけましょう。NHK職員もやったインサイダー取引も相変わらず多いです。
◎知的財産法 特許権の侵害や著作権の侵害が最も多いでしょう。また、商標権、意匠権 実用新案権の理解が必要です。特に著作権では技術的保護手段、権利管理情報の改変に関する規制があります。
【なぜコンプライアンス経営が必要なのか】ケーススタディで学ぼう:研修では豊富な事例提示
●これまで、コンプライアンス経営が法令遵守であり、そこでは実際上はどのような法律が必要になるかを申し上げました。では、このようなコンプライアンス経営はなぜに必要とされるなったのでしょうか。
企業は営利団体として利益の追求が目的です。しかし、社会との調和のもとで営利を追求するべきでしょう。このことは従来より当たり前のことでした。しかし。従来であれば、会社のためにやったのであるから多少は法律違反があってもいいのではないか。社会は大目に見てくれるとされていたものが、現在では許されなくなっているのです。
雪印乳業の事件や浅田農産の事件やニッポンハム事件など枚挙にいとまがありません。
●著作権関連では、過去にTBSのHPが読売などのコラムを編集長コラム「DUGOUT」で盗用しました。著作権侵害です。
担当部長は社内調査に対し「外部ライターが執筆した」と説明したようですが、ライターの指摘で虚偽が発覚しました。真実はTBSのスポーツ局担当部長(47)が、計35件を盗用したようです。そして、TBSは記事盗用の部長を諭旨解雇しました。
役員を含む上司5人も減俸や出勤停止処分になったようです。
従来は、これは単なる個人的犯罪行為ですまされたことでしょう。しかし、時代は変わりました。
会社も認めていますが、問題のコラムを掲載前にチェックする体制がなかったことから「組織にも一定の責任がある」として、退職金の出ない懲戒解雇は見送ったようです。
この会社はコンプライアンス経営の格付けをすればかなりの下位になるでしょう。
著作権コンプライアンスはできていません。この管理職にあるものが著作権の侵害をして、最初は誤魔化すことにも多くの問題があります。
コンプライアンス態勢はこのようなリスク対応に応じた経営です。
●企業倫理やCSR(企業の社会的責任)、企業統治などはその中核にコンプライアンスがあることは間違いありません。
殊に著作権を含めた知的財産権の侵害をしないことは今日重要な企業のマネジメント問題です。そのためにはまず著作権法はどのような法律で許される行為とそうでない行為がはっきりしていなくてはいけないのです。その研修は十分でしょうか。
【コンプライアンスの内容は1社・1社違う】
●確かに、コンプライアンス経営に中心にあるのは、経営に関連する法令です。しかし、単に法令順守で企業の信頼が得られると考えたら大間違いです。
⇒結論から言うと、ステークホルダーの信頼を得ることができているかどうか、これからさらにその信頼を高めることができるかどうかかコンプライアンス経営の核心なのです。
●なぜかというと、今日の共通認識として、「コンプライアンスは非常に重要で、違反すると会社の存続を危うくする可能性がある」とされています。そして、会社では、法令遵守に基づいた経営体制を組むことが必要とされてきました。
しかし、「コンプライアンス=法令遵守」だけでいいと考えていると、逆に法律に違反していなければ何をしてもいいというずれた認識につながりかねないからです。
「コンプライアンス」の本来の目的は、ステークホルダーの信頼を得ることです。法律に明らかに違反している場合はもちろん、法の網をすり抜ける行為や、法令違反ではないがステークホルダーの信頼を失う行為は、「コンプライアンス違反」だと考えるべきです。
そこで、ある会社にとっては全く問題にならない服務規程でもその会社にとっては、ステークホルダーの信頼を得るために必要なことであればそれはその会社のコンプライアンスの内容になるのです。
つまり、個々の会社には、法律の規制がなくても、必ず守らなければならないルールがあるはずです。その会社を取り巻く環境におけるステークホルダーから考えて、これはこの会社のコンプライアンスの内容になるとすればコンプライアンス・ガイドラインに入れるべきなのです。
●コンプライアンス経営におけるステークホルダーには、株主・顧客・取引相手・地域社会の利害関係者はもちろんの事ですが、さらにはステークホルダーには従業員も含まれていることを忘れてはいけませんね。 ある者の行為が他の従業員の業務の集中を妨害すればコンプライアンス違反になる可能性があります。働きやすい職場環境があってはじめて、社員は会社を信頼して安心して働けるからです。
もっとも、社会や会社内のルールは、初めての事態により後追いでつくられるのが実際です。ルールを作成する前にコンプライアンス違反の行為があっても注意を促し社内処分はしないほうがいいでしょう。
●経営者は個々の社におけるコンプライアンス体制を整備する根拠である経営方針を明らかにして、社としての明確なコンプライアンス経営方針に基づいて、各種規定・規程類を整備していきましょう。
そして、説明会や研修等を通して、コンプライアンス経営の目的や意義、社内推進体制等を社内外に周知徹底していくことが大切です。
【コンプライアンス経営と個人情報保護法】
●企業は個人情報を取得する目的を明示し、公正な手段で取得しなければならない。個人情報を取得した場合、企業は安全管理義務を負う。
取得した個人情報は、明示した目的以外に利用してはならないとされており、個人情報を本人の同意なく第三者に提供することはできない。個人情報の処理を外部に委託する際は、適正に委託先の管理を行なわなければならない。
個人情報保護法違反を社員が発見した場合に、コンプライアンス・ホットラインへの情報提供者の匿名性を守る必要がある。その後に、会社に居辛い状況をつくらないための配慮として匿名性は重要である。
個人情報保護法違反があった場合には、全従業員に対して、会社の個人情報保護方針を再度明示する。それまで研修などで個人情報保護法厳守の指導があっても再度各業務レベルでの個人情報保護法の内容の確認と、違反を回避するための内部統制ルールを従業員に周知徹底する。
●個人情報保護法違反のクレームを受けた場合には、すぐに上司に報告すべきであるが、同時に、クレームとの最初の接触段階で、問題発生による場当たり的な対応ではなく、事前に、従業員が適切な判断を下せるような対策を立てることが望ましい。
●コンプライアンスは、企業を維持・存続させるためにステークホルダーの信頼を得ることとすると、個人情報保護法をまもるために、企業は、個人情報の入手・保管・利用等に関わる手続きや制度を新たに定め、セキュリティシステムの拡充の投資が必要です。しかし、セキュリティシステムを維持・改善するだけではなく、従業員に対する継続的な教育・啓発が重要になります。個人情報保護法については、個人のプライバシーにかかわる部分があり、ステークホルダーは敏感であることに注意する必要があるのです。
【コンプライアンス経営から見た「出費」と会社への請求可否】
●会社に勤務していると、感謝の業務上との関連性で自分が出費をすることがある。その場合に、会社に必要経費として請求できる範囲はどのようなものであろうか。
特に問題になるのが飲食費でしょう。勤務後の懇親会などでは、会社が経費を負担して宴席を設けることがあるのですが、得意先などの接待で宴席やゴルフのコンペなどを設定することがありますが、どこまで認めていいかは難しい問題です。
このときに参考になるのが、会社の慣行でしょう。例えば、新規の得意先では、これまでここまでは認めてきたとか、長年の得意先では年に数回接待していたとかの慣行が最も参考になるでしょう。
しかし、コンプライアンス経営の観点からは、一体それが管理コストをできるだけ抑制するという経営の基本から見て本当に必要なのかが問われることになるでしょう。
そこで、株主などのステークホルダーの信頼を得るためには、会社の資産の使用についてのチェックが十分でムダな経費が使われていないことが必要です。ここでは、やはり業務上の必要性の高さから判断された厳格なルールを作ることが大切です。 グレーゾーンにおいてのルール作りは全員の賛同を得にくいものですが、だからこそコンプライアンス委員会が中心になって作成して経営者や従業員の納得を得ることが大切なのです。
【コンプライアンス経営から見た得意先などの「接待」】
●接待には、「取引に直接関係のある情報を交換する」、「相手の尽力に対して感謝の意を表す」とプラスの側面があるが、接待の形式をとっていても社会通念上それを受ける合理的な目的と理由がない場合や、社会通念上妥当な範囲を越える接待は、「私的な宴会」と取られても仕方がない。
取引先や新規の契約予定先からの接待は無碍に断ることは営業部にとってはマイナスとなるが、コンプライアンス経営の観点からは接待についてもチャック体制が必要になる。
まず、接待については必ず上長のチェックが入る体制が必要である。仕入先の変更などがあることと過剰な接待との因果関係は絶えずチェックするべきである。
仕入先から単価の値上げ要請を受けた際には、必ず同業他社から見積もりを取るなどして、値上げの妥当性を検証する。既存の業者から新規業者にチェンジするときもその正当性を説明する文書などが提出されることが大切である。
ステークホルダーには会社の周りの会社も含まれていることに注意する必要がある。
【コンプライアンス経営を壊すセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)】 ●定義と禁止行為
男女雇用機会均等法第21条では、職場において行われる性的な言動に対する女性労働者の対応により、女性労働者がその労働条件につき不利益(降格、減給等の不利益)を受けること(対価型セクハラ)と性的な言動により看過できない程度の支障を生じ、女性労働者の就業環境が害されること(環境型セクハラ)について、事業主に対し、防止するために、雇用管理上必要な配慮をしなければならないとしています。 ここで、「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所であり、通常以外の場所でも、勤務後の宴席でもその延長線上であれば職場に該当します。 また、人事院規則は、セクハラを「他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び職員が他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動」と表現しています。 セクハラは、個人の尊厳や名誉などの人格を害する、精神や身体の健康を害する、職場の人間関係を悪化させる、職場の秩序を乱すなど深刻な影響を及ぼすことが考えられますので、セクハラについての認識を十分に深めることが必要です。
セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)は、基本的に被害者が不快だと思えば成立する。まず、コンプライアンス経営の観点からは、男女雇用機会均等法は、事業主にセクハラを未然に防ぐ措置を講ずることを求めているので、その方針を明文化する。 セクハラに対する方針を明文化したら、説明会や研修等を通して、従業員に周知徴底し、啓発する。セクハラ相談員等を設置し、被害者からの相談・苦情を受けつけ、迅速・的確な対応を行なう。これにより、会社がセクハラ対策に取り組んでいることを、従業員等に表明できる。
セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)が発生した場合、加害者とと被害者が和解したとしても、職場の雰囲気が悪く有り、被害者が会社を辞めるケースが多い。これほ、会社にとって大きな損失である。
セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)と似たものに、ジェンダーハラスメントがある。ジェンダーとは、肉体的な性差ではなく、長い歴史の中で社会的・文化的に割り振られてきた男性性・女性性のことである。性別によって固定的な役割を与えたり、人格を認めないような呼び方をすることなど、ジェンダーに基づく差別的な言動をジェンダーハラスメントというのである。これも広い意味でのセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)といっていいだろう。
従業員も重要なステークホルダーです。セクハラを受けたと感じた従業員が、会社への信頼を失うことを考慮すれば、コンプライアンスの観点からも、セクハラを早急・確実に対応しなければなりません。 対価型セクハラは、「労働条件に関する不利益の有無」という要件があるので、合理的で、客観的な判定ができます。しかし、環境型セクハラは、労働者が他者の性的言動により、自分の就業環境が害きれたと感じれば成立するので、判定がむずかしいところがあります。 「異性を性的言動の対象と見なさない」という姿勢により、会社としてセクハラをなくすように努めとともに、男性と女性は、肉体的にも生理的にも異なるので、「女性に重いものを持たせるのは酷だ」といった配慮は必要でこの点、改正された男女雇用機会均等法(平成19年4月1日施行)65条以下においても、女性労働者にあっては母性を尊重される必要があると定めています。
【コンプライアンス経営と最初が肝心な「クレーム」対応】
●クレーム対応は、初期対応が決定的
コンプライアンスが、ステークホルダーの信頼を得ることであるならば、クレーム発生した時点で、コンプライアンス違反の疑いあると思わなければならないだろう。たしかに、「企業の甘い汁を吸う」ことを目的としていることもあるかもしれないが、それはごく一部である。 迅速で正確な初期対応を行なえば、問題が大きくなることも、いざこざが起こることもない。 最初に「クレームを受けたことを会社としてしっかりと認識していること」、「遅滞なく対応すること」を確実に相手へ伝えることが大切です。 もし、クレームに対する危機意識が低い従業員がいると、「クレームへの対応・責任をたらい回しにしてしまう」、「クレームがあったことを上司へ適切に報告・連絡・相談しない」、「些細な内容だったのでクレームだと認識しなかった」などの理由により、初期対応が遅れてしまうことがあります。 また、例えば家庭電気製品の卸売業であっても、PL法(製造物責任法)により、取扱商品の欠陥の責任を負うのです。
仮に、クレームに対応する部署があっても、クレームを発している者には、会社内部の事情など関係ない。クレームを受けた者は、「私の担当ではない」といった態度を取ってはならない。 初期対応では、クレームをたらい回しにせず、まず謝罪することで相手の感情を静めることだ。その際に、自社の正当性を主張することは控えるべきである。
遠方の場所からのクレームであっても、IT技術が進歩した時代だからこそ、直接会って、顔を合わせ、声を開くという行為が、誠心誠意対応している印象を強く与えるだろう。
●コンプライアンスの観点から、クレーム対応方針を明示する。そして、緊急時の報告経路とマニュアルを整備し、定期的に見直す。
また、重大化したクレームへの対策チームを想定しておく。クレーム対応方針等の周知のため、説明会や研修を行なう。また、ケ−ス別の対応をまとめ、クレームをたらい回しにしないように、誰が受けても対応できるように従業員を教育する。仮に想定していない事態が発生しても、軽率な取扱いをせず、対策会議を招集し、対策を検討することが重要だ。
【コンプライアンス経営と上司のパワーハラスメント】
●パワーハラスメントは、上司などが職務上の権限を背景に、業務上の必要を超えて、相手の人格や尊厳を傷つける言動を行ない、職務環境を悪化させたり、雇用に関する不安を感じきせる行為である。 現在、活的な定義はなく、救済手段等も不十分なところである。しかし、倫理面において、差別行為を撤廃し、誰にとっても働きやすい公平な職場をつくり、ステークホルダーである従業員の信用を損なわないように配慮する必要がある。
●怒鳴られても、後進を育てるという配慮があれば、パワハラには該当しない。それが、上司の保身や責任の押しつけであれば、被害者は不快に感じるので、セクハラと同様にパワハラに該当すると考えられる。
パワハラ対策は、セクハラへの対策に似ている。セクハラと同様に考えれば、まずは、パワハラを明文化し、説明会や研修等により周知させることが必要である。
パワーハラスメントは、優越的立場に基づき、業務上の必要がないにもかかわらず、他者(主に部下)にプレッシャーを与えたり、個人としての尊厳を否定する言動をとることと定義できます。 ときとして、上司を攻撃するための“武器”になることがあるので、正当な目的に基づく叱咤激励かをしっかりと見極める必要があるでしょう。
【集団での意思決定によるコンプライアンス違反】
●集団意思決定は、個人の意思決定に比べ、「豊富な情報量と多角的な視点を得られる」メリットがある反面、個人の意思決定と異なり、強力なリーダーに意見等が引っ張られ、的確な判断ができなくなるデメリットがあります。
例えば、商品の不具合は不祥事にも発展しかねないので、情報が噂の段階であっても、慎重な対応を心がけることが必要であります。そもそも営利企業は、利益の追求が重要であるが、顧客の信頼を失えば、それもできなくなるのだ。
コンプライアンス経営の観点からは、集団意思決定は、リーダー等に引っ張られているため発覚しにく集団意思決定を上司等がチェックできるように、議事録の作成と提出を義務づけるなどの会議体を管理するルールを作り、そこでは会議における意思決定プロセスが分かるように記録した議事録を作成しておく
集団での少数意見でもコンプライアンス・ホットラインを迅速に活用する。コンプライアンス推進室では、ホットラインを通じた少数意見でも提出を受けた際には、詳しい事情を聞き、他のメンバーからも事情を聞く。
コンプライアンス違反行為は、多くの場合、個人によるものです。しかし、集団が集団としての意思決定により、コンプライアンス違反行為を行なうことがあります。この場合、集団の個々の構成員は常識的な判断力を持っていたとしても、意思決定の過程で個人の判断が飲み込まれてしまうことがあるのです。 個々の横成員の判断を飲み込んでしまう集団は、「凝集性が異常に強い」、「強力なリーダーに率いられている」、「集団が何らかのプレッシャーを受けている」などで無理な意見が通り、コンプライアンス違反行為が会社全体として行なわれることになります。 この場合は会社ぐるみの企業不祥事となり、社会的信用を著しく傷つけます。 コンプライアンス実現に向けた施策は、個人を対象としたものだけではなく、集団を対象としたものも考慮する必要があるのです。
●公益通報者保護法もこれと密接に関連しています。コンプライアンス経営にとっては今後は公益通報者制度の活用を十分に考える必要があります。
【業務の適正を確保するための体制】
会社法で規定されている。「業務の適正」とは、違法行為や不正、ミスやエラーなどが行われることなく、組織が健全かつ有効・効率的に運営されるよう各業務で所定の基準や手続きを定め、それに基づいて管理・監視・保証を行うことを意味する。
コンプライアンス体制より広く、情報管理・危機管理も含まれている。内部統制システムともいう。
2006年6月に成立した金融商品取引法いわゆる日本版SOX法では「当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制」という概念を新たに用いている。この概念も、また一般に内部統制システムと呼称される。
当該体制の整備は、会社の業務に関する重要な決定であるから、取締役の過半数で決定し、各取締役に委任することはできない(348条2項・3項4号)また、大会社では、取締役がこれを決定することが義務付けられている(348条4項)。
取締役会設置会社では、取締役会でこれを決定せねばならず(362条4項6号)、大会社である取締役会設置会社では、その決定が義務付けられている(同条5項)。委員会設置会社では、決定内容が少し異なり、執行役の業務執行の適正確保という内容になる(416条1項1号ホ)。また、大会社か否かにかかわらず決定が義務づけられる(416条2項)。
それぞれ、条文上は「業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制」とあるように、具体的な内容は法務省令(会社法施行規則)に委任されている。
法務省令で列挙されている内容
・取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
・損失の危険の管理に関する規程その他の体制
・取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
・使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
・当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
(会社法施行規則98条、100条) (委員会設置会社では若干内容が異なる。) この他、会社の機関構成によって若干異なる。
監査役設置会社以外では、 取締役が株主に報告すべき事項の報告をするための体制を含むものとする。
監査役設置会社では、
・監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
・前号の使用人の取締役からの独立性に関する事項
・取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制
・その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
を含むものとする。(Wikipedia参照)
※質問と回答集
| 質問 |
回答 |
| KC-1 退職後に利用目的で部外秘扱いの会社の資料を一時的に自宅に持ち帰ってコピーをとっても自分の部署にある資料の場合は自己責任の範囲内で許されますか? |
刑事上は窃盗罪か業務上横領罪になるでしょう。自己の占有下にあるかどうかでいずれかになります。またそれが、営業秘密に該当すれば管理等の要件を満たせば不正競争防止法違反になります。仮に、自分が作成指示したものであってもその文書の所有権は会社にあります。なお、会社の資料内容を覚えていてそれを退職後に利用するのは一般的には不正競争防止法にはなりません。民事上は、損害が発生しないと責任はありませんが、就業規則で関連定めがあれば違反になります。 |
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