【離婚の種類】
(1) 協議離婚
調停または裁判によらず、夫婦間の協議により離婚をする場合には、市町村役場に離婚届が受理されたときが法律上の離婚成立日となります(創設的届出)。但し、夫婦間に未成年の子がいる場合には、親権者を定めなければ離婚届けは受理されません。 日本の離婚の約90%が協議離婚です。
(2) 調停離婚
家庭裁判所の調停手続のなかで、調停離婚することの合意ができた場合には、家事審判官(裁判官)による調停離婚の意思確認がなされ調停成立が宣言されたときが法律上の離婚成立日となります。但し、そのままでは離婚が戸籍に反映されないため、市町村役場へは調停調書の謄本を添付して離婚届を提出します(報告的届出)。通常は届出は申立人がします。日本の離婚の約8%が調停離婚です。
(3) 審判離婚
調停の結果、調停離婚することの合着には至らなかったものの、裁判所の判断であればこれに従う可能性が高い場合などに、家庭裁判所は離婚の審判を下すことがあります(家事審判法24条1項)。この場合、審判確定の日が離婚成立の日となり、市町村役場へは報告的届出になります。この手続が行われるのは1%未満です。
(4) 和解離婚&認諾離婚
調停において調停離婚の合意に至らず、離婚の審判もなされない場合には離婚調停は不成立となり、更に離婚を求める場合には家庭裁判所に対し離婚請求訴訟を提起することになります。従来、裁判上の和解や請求の認諾による離婚はできませんでしたが、平成16年4月1日の人事訴訟法改正により、裁判上の和解と認諾による離婚という制度が新設されました。但し、請求の認諾をなし得るのは未成年の子のいない夫婦間において離婚のみを求める場合です(人訴37条1項但書)。この場合、和解は成立の日、請求の認諾は認諾の日が離婚成立の日となり、市町村役場へ報告的届出になります。すでに、この離婚も1%未満ですが発生しています。需要があったのです。
’ (5) 判決離婚
離婚請求訴訟において裁判上の和解による離婚も不能である場合、裁判 所は法律の恵める離婚原因に照らして離婚請求を認容するか否かを判断することとなります。判決において離婚が認容された場合には、その判決の確定日が離婚成立の日となり、市町村役場へ報告的届出になります。判決離婚は、全ての離婚の約1%です。増加傾向にあります。
【離婚するときの決定事項】
(1)慰謝料
慰謝料はどうするのか。慰謝料はお互いにこれといって離婚責任がないようであれば支払う必要はありませんが、支払うべきケースであった場合、その金額とどのようにして支払うのか決めます。(一括払い・分割、振込み・手渡し、期限は?等)
(2)財産分与
財産分与はどうするのか。婚姻中に夫婦で協力をしてなした財産は、原則として財産分与の対象になります。不動産、動産、預貯金、株等。また、借金は有るのか無いのか。財産分与の額とその方法を決めます。
(3)親権者・監護者
未成年の子がいる場合、夫、妻、のどちらが親権者になるのか。引き取り育てる監護者になるのはどちらか決めます。
(4)養育費
養育費は、いくらにするのか。いつまで支払うのか。どのような方法で支払うのか。重要な問題です。
(5)面接交渉権
未成年の子がいる場合で、子を引き取り育てないほうの子供との面接はできるようにするのか、どのくらいの頻度で会うのか。その場合、泊りも許される時期もあるとするのか。
(6)離婚後の戸籍と姓
氏(姓)と戸籍はどうするのか。離婚後は旧姓に戻ったままでいるのか。婚姻中の姓を引き続き名乗るのか決めます。
(7)子供の戸籍と姓
戸籍は新しく自分のものをつくるのか。旧戸籍に戻るのか。子供と姓が異なったらどうするのか決めます。
【新しい離婚関連制度】
(1)新しい「人事訴訟法」制定(平成16年4月1日から施行)
ア.離婚を含む人事訴訟事件の管轄が地方裁判所から家庭裁判所に移る。
イ.家庭裁判所調査官等による事実の調査制度が新設
ウ.人事訴訟事件の審理に一般国民の良識をより反映させる観点から家庭裁 判所に参与員制度が導入
エ.当事者尋問等の公開停止規定が新設
…尋問事項が、夫婦間の著しく異常な性生活や、養子が養親から著しい性的虐待を受けていたことに及ぶ場合等
オ.訴えを提起する場合にどこの裁判所に提起するかという土地管轄
「原告又は被告の普通裁判籍」(すなわち原告又は被告のどちらかの住 所地)となる(人訴4条)
カ.和解・認諾による離婚
キ.養育費の支払いに関して新たに履行確保の制度が導入(人訴38条ないし40条)
(2)年金法の改正
ア.従来の制度
「年金が財産分与の対象になるか」は、熟年離婚では現実的で切実な問題で、近年では年金を分与の対象とする判決も出ており、調停等でも話合いの対象とされることも多くなってきています。
しかしながら、これはあくまで「年金額の分割」として、受給した年金のうちの一定額を支払うという内容で、年金受給者が死亡すれば年金はなくなり、また年金は差押えがでさないので不払いの場合、取り立てる強制力がありません。
イ.「厚生年金・共済年金の分割制度の新設」(平成16年の年金法改正:厚生年金保険法78条の2以下等)。
これは、離婚当事者の合意又は家庭裁判所の審判で厚生年金(共済年金)について、5割を上限として分割ができる制度です。年金権の分割(当事者双方に年金受給権を発生させる)であるため、元の年金受給者が死亡しても自身の年金受給には影響しません。ただし、これは施行日(平成19年4月1日)以降の離婚について適用されること、離婚後2年以内に請求しなければならないこと等、いろいろ制約があります。
また、平成20年4月から第3号被保険者期間の分割も導入されます(厚生年金保険法78条の13以下等)。これは被保険者(第2号)の同意がなくとも2分の1に分割される仕組みですが、平成20年4月以降の第3号被保険者期間に限定されます。したがって、それ以前の期間については、平成19年4月以降の離婚であれば前記の合意又は裁判所の決定により分割割合を決めて分割することになります。
(3)民法上の扶養義務に基づく定期金債権(養育賛・婚姻費用等)の執行に関する「民事執行法の改正」(平成16年4月1日施行)
ア.従来の制度
離婚の際に取り決める月払いの養育費の支払が滞った場合、その養育費の支払いが、判決や調停調書等(債務名義)であれば強制執行ができますが、対象となるのは既に不履行になっている分についてだけで、費用ばかりかかり、その間の生活もできなくなり、実際には実効性に乏しい制度でした。この度、養育費・婚姻費用等扶養義務等に係る債権の履行確保のため、民事執行法が改正され、養育費について一部でも不履行があれば、支払期限がきていない将来部分についても一括して強制執行がでさるというものです(民執法151条の2)。また、差し押さえることができる債権の範囲も、給料等の4分の1から2分の1になりました。
これによって実質的に給料から天引きで養育費の支払いを受けるのと同じ効果が期待できますが、この特例に基づき差し押さえることができる債権は給料、地代・家賃等の質料債権、商品・役務の継続的供給契約に基づく売掛金などで、養育費等の支払期限後に支払われるものに限るという制約もあります。
さらに、その後の改正(平成17年4月1日施行)で、扶養義務に基づく金銭債権(養育費等)について、間接強制が可能となりました(民執法167条の15)。これは、養育費等の支払いが滞った場合、債権者(養育費の支払いを受ける側)の申立てにより、裁判所が債務者(支払いをする側)に相当と認める一定の額を制裁金として支払いを命ずることにより債務の履行を確保する制度です。
(4)「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」の改正
平成13年10月13日から施行されたDV防止法は平成16年に改正があり、「暴力」の定義は身体的暴力のみでなく「心身に有害な影響を及ぼす言動」も「暴力」に含まれることになりました。また、元配偶者からの保護命令の申立 ても認められるようになり、保護命令のうちの退去命令の期間が「2週間」から 「2か月」となり、さらに再度の申立てが認められるようになったこと、警察本 部長等による援助の規定、福祉事務所による自立支援等の規定が新設されました。
※ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)は平成12年11月24日から施行されています
(5)民法の改正案
平成8年2月26日に法制審議会が答申した「民法の一部を改正する法律案要綱」の主な内容は以下の通りです。
○婚姻最低年齢を男女とも18歳とする、 ○女性に対する再婚禁止期間を6か月から100日に短縮する、 ○選訳的夫婦別姓を導入する、 ○財産分与につき分与割合を原則2分の1とする、 ○離婚原因に「5年以上の別居」を加える、 ○非嫡出子の法定相続分を嫡出子と同等とする。等々、改正の政治日程があがりますが平成19年度3月現在まだどれも実現していません。
【偽装離婚】
(1)離婚の意思
まず、婚姻意思については、単に婚姻届出をしようとする意思だけでなく、「真に社会観念上夫婦であると認められる関係の認定を欲する効果意思(最二小判、昭44.10.31、民集23.10.1894)」も要するとされています。
しかしながら、協議離婚は届出(離婚届の受理)により成立するのですが、この離婚の意思はその届出のときに存在することが必要とされ、それで足りると解されています。
つまり「実質的に離婚をする意思」は必要でなく、離婚の意思とは「離婚の届出をする意思」であるから、届出の際に届出の意思さえあれば、それが便宜上のものであっても有効と判例は解しています(形式的意思説)。つまり、離婚の届出をする意思を有していた以上、真に法律上の婚姻関係を解消する意思を有していたものと判例は解するのです(妻を戸主とする入夫婚姻をした夫婦が、事実上の婚姻関係は維持しつつ、単に、夫に戸主の地位を与えるための方便として、協議離婚の届出をした場合に「…上告人及びその妻Bは判示方便のため離婚の届出をしたが、右は両者が法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてなしたものであり、このような場合、両者の間に離婚の意思がないとは言い得ないから、本件協議離婚を所論理由を以つて無効となすべからざることは当然である。…」(昭和38年11月28日最高裁判所第一小法廷) 。
(2)判例で離婚が有効とされた具体例
@債権者から夫に対する強制執行を免れるために、債務整理の解決を見るに至るまでということで協議離婚をした事案(大審判昭16.2.3)
A債権者の追及を免れ、家産を維持するための方便として協議離婚をした事案(東京地判昭55.7.25)
B単に戸主権を妻から夫に移すための方便として協議離婚をした事案(最判昭38.11.28)
C従来どおりの生活保護費の支給を受ける手段として協議離婚をした事案(最判昭57.3.26)などの場合です。
3 判例で離婚が無効とされた具体例
「夫が妻に対し離婚届に署名するよう要求し、これを拒否した妻に対し茶碗等を手当り次第投げつけるなどの乱暴な振舞いをしたので、妻がその場を収拾するためやむなく離婚届に署名・押印したところ、夫がそれを役場に提出し、受理されてしまったという事案」(札幌高判昭55.5.29)があります。離婚届の作成・届出当時妻には離婚意思はないからです
【離婚における養育費】
「離婚における養育費の誤解」について、お話しましょう。
これは、民法には「養育費」については何も書いてないのです。言葉が独り歩きしています。
要するに養育費とは法的には「扶養請求権」の異名です。
子は当然に親に対して扶養請求権を持っています。もちろんその逆もありますね。老親が子に養ってもらうのはこれも扶養請求権が根拠です。
ですから、養育費は離婚の際に決めても後々の事情の変化で金額の変更などは十分にありうることです。
また、養育費を無しにしていても「あり」に変更可能ですよ。
金額の決定は払える人の生活レベルに近いものが最も決めやすい額でしょうね。
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