外国人の入国管理手続-visa status residence application(ビザ取得 在留資格証明・変更等最新入管法務実務)
【外国人の入国管理手続…ビザ取得 在留資格証明・変更】
外国人が日本に入国し上陸するには、有効な旅券(パスポート)を有すること、査証(ビザ)が必要なときは有すること、入管法に必要な在留資格があること、在留期間が法務省令に合致すること、上陸拒否自由に該当しないことが必要です。在留期間中に在留資格の変更が発生するときにはその手続も必要です。
この手続代理人としての入国管理局承認の「申請取次ぎ行政書士」として外国人の皆様の日本滞在の手続代理をしてきました。 ※外国人研修制度 ※ブラジル等日系人
Contents
1.外国人の出入国状況
(1)平成16年における外国人の正規入国者は,6,756,830人で,前年に比べ1,029,590人(18.0%)増加しています。 平成17年における外国人入国者数(再入国者数を含む。)は,約745万人です。
平成16年の正規入国者を国籍別に見ると,韓国が前年同様最も多く,次いで中国(台湾),米国の順となって おり,この順位は平成2年以降変わっていません(次いで,中国,フイリピン,英国,オーストラリアの順)。
平成17年度の日本人出国者数は,約1,740万人で,前年に比べ約57万人(約3.4パーセント)の増加となり ました。
平成18年における外国人入国者は,810万7,963人で,前年に比べ65万7,860人(8.8パーセント)増加し 過去最高で再入国者を除いた新規入国者は,673万3,585人で,前年に比べ61万2,876人(10.0パーセン ト)増加し,過去最高の増加です。原因は一昨年3月からの韓国及び中国(台湾)の査証免除措置,及び,中国
に対する査証発給条件の緩和の効果でしょう。
平成19年における外国人入国者数(再入国者数を含む。)は約915万人で,前年に比べ約104万人(約12.9 パーセント)増加し,初めて900万人を突破し過去最高で、新規入国者数についても,約772万人です。
(2)在留資格では、平成18年度の入国管理局データでは、 短期滞在 640万7,833人、 研 修 9万2,846人、 興 行 4万8,249人の順です。
(3)日本に長期滞在する外国人は,平成16年末現在の外国人登録者数でみますと,197万3,747人で過去最高を記録し,15年末と比べ5万8,717人(3.1%),12年末に比べ28万7,303人(17.0%)の増加となっています。
(4) これらの人々の出入国を管理するのが法務省の入国管理局とその出先機関の地方入国管理局です。
これらの入国管理局に各種の申請書を提出する人々の相談に応じアドバイスを行うこと申請書類を作成することを当オフィスでは取り扱っています。 滋賀県の日系ブラジル人は全国的にも非常に多くなってきています。ビザ更新は中川総合法務オフィスで申請取次ぎします。
2.外国人在留許可に関わる法律
①出入国管理及び難民認定法(入管法)
出入国管理及び難民認定法は本邦に入国し又は本邦から出国するすベての人の出入国の公正な管理を図るとともに難民の認定手続を整備することを目的とします(1条)。
●出入国管理に関する規定は出入国するすべての人を対象とし外国人のみならず出国し帰国する日本人もその対象とします。
●外国人については入国出国の管理のみならず、本邦に在留する間の在留管理をも含みます。
●難民であるかどうかは「難民の地位に関する条約」と「難民の地位に関する議定書」に定める難民に該当するかどうかによって認定されます。
入管法には実定規定はなく、手続規定のみが定められています。
●入管法には「出入国管理」と、「難民認定手続」を内容とする条項とがありますが、別個独立です。
●第二次世界大戦終結前から引き続いて本邦に存留する、朝鮮半鳥及び台湾出身者とこれらの直系卑属についての特則を定めた「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国に関する特例法」があります。
②外国人登録法
外国人登録法は、本邦に在留する外国人の登録を実施することによって外国人の居住関係独び身分関係を
明確ならしめ、もって在留外国人の公正な管理に資することを目的とします(1条)。 .
入管法により日本に滞在を認められている外国人は外国人登録の申請をしなければなりません。
③法の適用に関する通則法(国際私法):旧法は法例
現存の国際社会では、法律は国家を単位にして成立していますが、各国の法律の内容が異なることから国際間の法律関係にどこの法律を適用するかを決定しなければ成らず,それが国際私法です。法令の3条以下に規定がありましたが,2006年には抜本改正がなされ、「法の適用に関する通則法」が制定されました。
その他、夫婦間の扶養や未成年の子供の扶養については、「扶養義務の準拠法に関する法律」。遺言については、「遺言の方式の準拠法に関する法律」などがあります。
④国籍法
日本国憲法10条は、「日本国民たる要件は法律でこれを定める」と規定し、これを受けて、国籍法ができました。
3.外国人が日本に入国し上陸するために必要なこと
(1)外国人が日本に入国し上陸するには次の要件が必要です。
①有効な旅券(パスポート)を有する。
②査証(ビザ)が必要なときは有する
③入管法に必要な在留資格がある
④在留期間が法務省令に合致
⑤上陸拒否自由に該当しない
(2)旅券(パスポート)
旅券とは、所持人の国籍および人物を証明し、発給国に帰国できることを約束し、渡航先国に対して入国、滞在についての便宜供与を依頼する国家(旅券を発給した国)の公式な文書をいいます。
● 旅券という名称がついていればすべて有効というわけではなく、旅券以外の名称でも旅券に代わる証明書として通用するものもあります。以下の通りです。
①日本国政府が承認している外国政府の発給した旅券
通常、自国民に対して発給した旅券(ナショナル・パスポート)。ただし、日本が承認していない国の発給した旅券は、旅券として通用しません。
② 権限ある国際機関の発給した旅行証明書
国連や国連の専門機関の代表、職員らに発給される国連のレッセ・パッセなど。
③難民旅行証明書
「難民の地位に関する条約」の規定により難民と認定を受けた外国人に対して難民と認定した国が発給する文書。
④外国人旅券
自国政府から旅券の発給を受けられない外国人や無国籍者に対して居住している国(その外国人や無国籍者にとっては外国)が国外旅行用に発給する文書。
⑤渡航証明書
有効な旅券を所持できない無国籍者や未承認国の人に、日本国領事官などが日本入国のために発給する文書。
⑥再入国許可書
有効な旅券を取得できない在日外国人(未承認国の人など)が、一時的に国外に旅行しようとする場合には法務大臣から再入国許可書の交付を受けることができ、この再入国許可書は、日本に再入国する場合には旅券とみなされます。
(3)査証(ビザ)
●査証が免除される場合を除き、旅券に有効な査証を取り付けていることが必要とされ、査証は上陸許可を受けるための要件の一つです。
●査証の発給を受けるための申請は、原則として入国しようとする外国人自身が海外の日本の大使館(領事館)で行い、所持している旅券は真正かつ有効な旅券であり、入国目的からみて日本への入国に問題はないと判断されると発給されます。
●査証イコール上陸許可ではなく、査証を持っていても入国審査官の審査の結果、上陸が許可されないこともありえます。
●査証の種類(入国目的)によって、その大使館(領事館)の判断ですみやかに発給できるものと、本省(外務省)の判断を求めて発給するものとがあります。
●査証の発給の不便・不都合を解消し、上陸手続きの簡素化・迅速化を図るため、法務大臣の発給する在留資格認定証明書の制度があります。
●外交・公用・就業・一般・通過・短期滞在・特定の7種類に区分され、査証には入国目的と滞在予定期間が記載されています。入国目的の欄には在留資格が記入されます。
●査証は原則として1回限り有効で、その有効期間は3ヶ月とされるのが通例ですが、各国との相互取り決めなどにより2回有効あるいは数次有効の査証も発給されています。米国人の場合、相互取り決めにより査証の有効期間は60ヶ月(5年間)とされています。数次有効の査証は、その査証の有効期間内、同じ上陸目的であれば何回でも使用できます。
●上陸にあたり査証を必要としない例外の場合
①査証が免除される場合
国際約束(協定や取り決め)または日本国政府が外国政府に対して行った通告により、一定の条件の下で査証を必要としないと決定された国の国民(外国人)は,査証を所持する必要はありません。
②再入国許可を受けている場合
再入国許可の有効期間内であれば査証は必要ありません。
4.在留資格
在留資格とは、外国人が日本に在留する間、一定の活動を行うことができる資格、あるいは外国人が一定の身分または地位に基づいて日本に在留して活動することができる入管法上の法的資格です。
①外国人はこの法的資格に基づいて日本に在留し、日本で活動することができます。この在留資格は、入管法の別表第一の一、二、三、四、五および別表第二の上欄に、たとえば芸術、企業内転勤、短期滞在、留学のように、27種類に分けられ、各在留資格が許容する在留中の活動ないしは在留の態様(身分・地位)は、それぞれの在留資格の下欄に具体的に表示されます。
②外国人はこの27種類の在留資格のどれかに該当しなければ日本に入国し在留することができません。在留資格で定められた活動以外の活動、たとえば特に技術を必要としない労働(単純労働)や未熟練労働を行うことを目的として入国・在留することはできないのです。
③外国人が日本に在留する間は、常時、単一の在留資格をもって在留するものとしています。たとえば、「家族滞在」の在留資格をもつ者が、大学に入学して「留学」の在留資格を持ちたい場合には、「家族滞在」と「留学」の二つの在留資格をあわせもつことができず、在留資格を変更して「留学」のみの在留資格で在留することになります。
④外国人は、在留中、上陸許可などに際して(決定)された在留資格の許容する範囲内の活動(各在留資格の下欄に記されている活動)と通常の社会生活上の活動をすることができます。
⑤在留資格をもたないで在留することが認められる場合
a仮上陸の許可を受けた場合
b退去命令を受けた者が船舶等の運航の都合その他その者の責めに帰することができない事由により、一定の期間内に限り一定の指定された施設にとどまることを許された場合。
c特例上陸の許可を認められた場合
d日本の国籍を離脱した者または日本で生まれた者などが、日本に在留する60日以内の期間。
e 入管特例法の定める特別永住者に該当する場合。
◆外国人の就労資格
1 日本で働くためには
在留資格制度によって、外国人は付与された在留資格の許容する範囲内の活動のみを行うことが認められ、許容する範囲外の活動、収益活動(就労)を行うことは禁じられている。
①入管法別表第一の一の表および同二の上欄の在留資格をもって在留する外国人は、それぞれの在留資格に応じその下欄に揚げる収益活動のみを行うことができます。
外交・公用・教授・芸術・宗教・報道(別表第一の一)
投資・経営 法律・会計業務 医療 研究 教育 技術 人文知識・国際業務 企業内転勤 興行 技能(別表第一の二)
②入管法別表第一の五の特定活動を付与されている外国人について、収益活動は法務大臣が指定した活動に限って行うことができます。 特定活動(別表第一の五。指定された就労活動}
③入管別表第一の三の表および同四の表の上欄の在留資格をもって在留する外国人は、それぞれの在留資格に応じその下欄に掲げる非収益活動のみを行い、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける収益活動を許可なく行うことはできません。
「文化活動」 「短期滞在」(別表第一の三)
留学 就学 研修 家族・滞在 (別表第一の四)の在留資格を付与されて在留する外国人は、資格外活動の許可を受けた場合を除き、収益活動をすることは認められていません。
④ 「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」(別表第二)の在留資格を付与されている外国人は、その身分または地位を保有している限り在留活動に制限はなく、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動を行うことができます。(単純労働的な仕事にも就くことができます}。
◆資格外活動の許可
在留資格に許容された活動以外の収益活動を行うことは禁じられていますが、収益活動を臨時的に行いたいときは、事前に入国管理局・支局・出張所に資格外活動の許可を申請して許可を受けることが出来ます。
①資格外活動の許可は、資格外活動を行うことによって本来の在留活動〔在留目的の遂行〕が妨げられないこと、臨時的に行おうとするその活動が適当と認められること〔単純労働や風俗関係業務に従事する場合に不適当とされる場合がある)が条件とされ、資格外活動許可書には許可された活動の内容と活動できる期間が明記される。
②「留学」「就学」の在留資格を付与されている留学生・就学生については学費その他の必要経費を補う目的をもってアルバイトをしよとする場合には包括的な資格外活動の許可を受けることができる。
◆家族として滞在する場合
1 「家族滞在」の在留資格により家族として滞在する場合
教授・芸術・宗教・報道・投資・経営・法律・会計業務・医療研究・教育・技術・人文知識・国際業務・企業内転勤・興行・技能文化活動・留学の在学資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者または子が「家族滞在」の在留資格となる。
①「短期滞在」者の家族滞在は認められない。また、「就学」「研修」の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者または子は、平成2年5月24法務省令第16号によって「家族滞在」として入国・在留することはできないとされている。
②配偶者は、夫または妻のいずれが扶養するか扶養されるかを問わない。子は、実子に限らず養子も含み、その年齢は問わない。養子縁組をしていない妻の連れ子は夫が扶養しても「家族滞在」に該当しない。配偶者も子も扶養を受けることが条件である、被扶養家族として在留する場合に限られる。
③「家族滞在」の在留資格で在留する者は、資格外活動の許可を受けた場合には収益活動をすることを認められるが、相当の収入を得るような稼働をする場合は被扶養家族とは認められず、「家族滞在」の在留資格を失うことになる。
④「家族滞在」で在留する者は、その扶養者である配偶者または親が本邦に在留する間に限って在留が認められ、在留期間も原則として扶養する配偶者または親の在留期間と同じ期間となる。ただし、扶養する配偶者または親が死亡したり出国したり、または離婚などで離別したり扶養を受けられないことになるが、身辺整理や出国の準備などのためであれば在留期間内の在留は認められる。
2 「家族滞在」以外の在留資格により滞在する家族の場合
①「日本人の配偶者等」
a 日本人の配偶者、民法817条の2の規定による特別養子、日本人の子として出生した者が、この在留資格に該当する。
配偶者は、夫と妻のいずれかが日本人で、いずれかが外国人であるかを問わない。特別養子以外の養子は、この在留資格に該当しない。
b 子として出生した者とされており、その年齢に制限はない。また、本邦で出生したことは要件とされていないので、外国で生まれた者も、この在留資格に該当する。
cこの滞在資格は「家族滞在」とは異なり、扶養を受けるという要件は定められていないので、独立して生計を維持する場合でも、上の身分関係を保有していれば、「日本人の配偶者等」の在留資格に該当する。
dこの在留資格に属する活動に従事することもできるし、在留資格に定める活動以外の活動、たとえば単純労働を行うこともできる。
e南米などに移民した日本人の子として外国で出生した者で日本国籍を保有しない者が日本に入国する場合には、この在留資格が付与される。
②「永住者の配偶者等」
a 「永住者」、「特別永住者」の配偶者または「永住者」「特別永住者」の子 とし本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者がこの在留資格に該当する。
b 「永住者」「特別永住者」の子として「本邦で出生し」とは、本邦で出生したときにその父または母のいずれか一方が「永住者」または「特別従者」であった異(出生のときに父が死亡している場合は、死亡した父が「永従者」または「特別永住者」であれば足りる)が要件とされている。
cこの在留資格は上の身分関係(子については引き続き在留の要件)を有することが要件で、扶養関係の存否、年齢に関係なく、また、就労についても何ら制限はない。
③「定住者」
「定住者」とは、法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者とされており、具体的には平成2年法務省告示第132号に定められている。
a 日本人の子として出生した者の実子(日本人からみて孫)
b日本人の子として出生し「日本人の配偶者等」の在留資格をもって在留する者の配偶者
c1年以上の在留期間を与えられている「定住者」の資格をもって在留する者の配偶者
d「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留す具体的例として、南米などに移民した日本人(一世)の子(二世)には、「日本人の配偶者等」の在留資格が与えられ、その配偶者やそれらの間に生まれた子(三世)には「定住者」の在留資格が与えられる。
①「定住者」の家族は、「日本人の配偶者等」や「永住者」と同様に就労について何ら制限はない。
②日本人の実子を扶養する外国人親に関する在留上の取り扱い
未成年でかつ未婚の日本人の実子を扶養するために日本での在留を希望する外国人親で、日本人と離婚や死別したりして「日本人の配偶者等」の在留資格に該当しなくなった者については、その者の申請にもとづき原則として「定住者」の在留資格への変更が認められる。ただし、当該外国人親が当該実子の親権者になっている場合、そして、現実に相当期間、当該実子を監護・教育している場合であることが必要である。親子が離ればなれにならないで、日本人の実子の日本での安定した生活を保障しようとする趣旨である。
④「特定活動」
「特定活動」とは、法務大臣が個々の外国人についてとくに指定する活動とされており、「特定活動」の在留資格で在留する外国人の扶養を受ける配偶者や子についても、入国・在留を認める場合には、特定活動者の被扶養家族としての滞在を内容とする「特定活動」の在留資格が付与される。
この「特定活動」を付与されている家族は、資格外活動の許可をうけなければ、就労(収益活動)はみとめられない。
◆永住許可
①日本への在留が認められる在留資格の一つに「永住者」が定められており、 外国人は永住許可を受ければ、日本に永住することができる。
aわが国は移民政策をとっていないので、外国人の上陸条件として永住者の地位を有する者の活動は除かれている。したがって、「永住者」の在留資格は、日本に入国し在留してから法務大臣から永住許可をうけることにより取得することができる。
b在留している外国人が、「永住者」への在留資格の変更を希望する場合には、地方入国管理局・支局・出張所に永住許可の申請をする。
c「永住者」への在留資格の変更については、「素行が善良であること」および「独立の生計を営むに足りる資産または技能に合致する」の要件に適合し、かつ、「その者の永住が日本国の利益に合致する」と認められるときに限って許可するとされており、一般の在留資格の変更よりも、厳格な基準が入管法に定められている。
このような法律上の厳しい条件を反映して、おおむね10年以上引き続き在留していることが永住許可の審査基準の一つとなっている。
d 日本人、永住者または平和条約国籍離脱者等入管特例法に定める「特別永住者」の配偶者と子どもが永住許可の申請をした場合には、素行善良と独立生計維持能力の要件を満たない場合であっても永住を許可することができるものとされている。この場合、一般には10年以上の在留歴がなくても3年から5年くらいの継続在留歴があれば永住許可がうけられる。
② 永住の許可をうけると、次のようなメリットがある。
a在留期間の制限がなくなり、退去強制事由に該当しない限り、日本に引き続いて在留することができる。
b 在留活動に制限がなくなり、他の法令によって外国人に対する制限がある場合を除き、どのような職にも就くことができ、不法就労として違反に問われることはない。
c 退去強制事由に該当した場合でも、永住許可を受けている者については法務大臣はその者の在留を特別に許可することができるとされており、有利な地位にある。
d 法務大臣から永住の許可をうけているということは、日本に生活の基盤があることの証明であるから、商取引をはじめ社会生活の上で信用が得られる。
◆ 研修生
①在留資格「研修」は「留学」や「就学」と同様に知識や技術・技能または知識を学ぶ(修得する)ことを目的とするもので、学ぶ点について共通するものの、「留学」や「就学」が学校教育機関において個人の資格で勉学するのに対して、「研修」は原則としてある者が、その職に必要な技術・技能・知識を日本の企業その他の団体において修得しようとするものでありこのような性質に着目すれば、研修生はいわば産業留学生ともいえる。
a 外国人研修生の受け入れは、国際的な技術援助を行い、人づくりを通じて諸外国の生産性の向上を図り、 もって共存共栄の国際社会を構築する一助としょうとするもので、日本の国是である国際協調性主義を具体化しようとするものである。
b研修生は企業などの生産現場において産業上の実践的な技術・技能・知識を修得することが認められており、制度上この実務研修を当然のこととしている。実務研修とは、商品を生産もしくは販売する業務または対価を得て役務の提供を行う業務に従事することにより技術・技能または知識を修得する研修と定義されている。
c 生産現場などで受け入れ企業の職員に伍して作業を行っている姿は、一見すると労働者と見誤られるおそれがあるが、研修生は受け入れ企業と雇用契約を結び労働の対価として賃金を受ける者ではなく、けんしゅうの結果が生産の一助となることはあっても、いわゆる労働者(就労者)ではない。
d 研修生に限っては開発途上国かた来日する場合が多く、国際協力を積極的に推進しようとする趣旨からも、日本滞在の衣食住については教える側の日本の受け入れ企業などが経費を負担することが認められている。
e 研修生に支給される諸手当(研修手当)は、対日中の衣食住にかかる実費を補填するものであり、労働の対価(賃金)として支払われるものではない。
② 実務研修を伴う研修生の受け入れは、次の外国の機関から派遣されること。
a 国もしくは地方公共団体またはこれらに準ずる機関。
b 受け入れ機関との合弁企業または現地法人(設立準備中も含まれる)。
c 受け入れ機関との引き続き1年以上の取引の実績または過去1年間に10億円以上の取引の実績を有する機関。
③ 次に掲げる機関が研修生を受け入れる場合は、上記のいずれにも該当することを要しない。
a 日本の国もしくは地方公共団体またはこれらに準ずる機関
b 商工会議所、商工会
c 事業共同組合など中小企業の組織に関する法律に定める中小企業団体で、外国人研修生の受け入れを事業の目的とするもの。
d 財団法人または社団法人で、外国人研修生の受け入れを事業の目的とするもの。
e 職業訓練法人
f 農業共同組合
g 財団法人国際研修協力機構の指導と支援の下で行われ、かつ、あらかじめ法務大臣の承認を得て同法人が推薦した研修を行う機関
※技能実習制度
技能実習制度は、所定の研修を終えた研修生について、その技術・技能・知識のさらなる熟練形成をめざし、雇用関係の下においてより実践的な技術・技能・知識の修得を目的とし、日本の産業上の技術・技能・知識を開発途上国などに移転し、これらの国々の経済発展に協力する趣旨から創設されたもので、研修制度の充実を図るものである。
a この技能実習を行う外国人には「研修」在留資格を変更して、「特定活動」の在留資格が付与される。
b 技能実習生は、技能実習先の企業と雇用契約を結び、被雇用者として労務を提供することによって賃金を受けることとなり、労働者として社会保険その他諸法令の適用を受けることになる。
c 技能実習へ移行するためにはつぎの諸要件をクリアーすることが必要とされている。
①おおむね6か月の研修を終了していること。
②研修で修得した技術・技能・知識と同じ技術・技能・知識について技能実習を行うこと。
③研修先と同じ機関で技能実習を行うこと。
④技能実習には、研修期間との合計が2年間、3年間の2コースがある。
これは、研修終了時の技能検定によって決定される。2年コースは技能検定基礎1級が目標で、研修と技能実習の期間がおおむね1対1.5の範囲内であること。3年コースの場合は技能検定3級が目標で、研修期間は9月以上であることが条件となる。
⑤研修生が研修活動により一定水準の技術・技能・知識を修得していること。
⑥研修中の研修制度、在留状況等が良好とみとめられること。
⑦日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けるなど、適
正な雇用契約が結ばれていること。
⑧帰国後、技能実習によって修得した技術・技能・知識を活用する業務に従事することが予定されていること。
⑨技能実習終了後確実に帰国する手段が確保されていること。
dこれら技術実習に移行することを希望する外国人は、財団法人国際研修協力機構にその旨を申し出ることとされ、同法人において上記⑤および⑥の評価を行うこととされている。
◆在留資格認定証明書
在留資格認定証明書とは、日本に入国しようとする外国人について、その外国人の入国(在留)目的が入管法に定める在留資格のいずれか(たとえば「留学」とか「企業内転勤」とか、あるいは「家族滞在」など)に該当していることを、法務大臣があらかじめ認定したことを証明する文書をいう。
在留資格認定証明書の発給を受けた外国人は、これを在外の日本国領事館に提示すれば、すみやかに査証が発給される。
①日本で上陸審査を受ける際にこの証明書を提示すれば、事前に法務大臣の審査が完了しているので、在留資格に適合していることを立証する文書を提出する必要はなく、容易に上陸の許可がえられるメリットがある。
②在留資格認定証明書は、日本に入国し在留しようとする外国人が、あらかじめ法務大臣に対して、その上陸目的が入管法に定める在留資格に該当していることを証明し裏付ける資料を提出して、その在留資格(たとえば「留学」とか「家族滞在」)に該当していることを入国以前に認定されたことを証明してもらう文書である。
③申請は、外国人自身またはその代理人が法務大臣(外国人を受け入れる機関の所在地またはその外国人の親族など代理人の居住地を管轄する地方入国管理局)に対して行うことになっている。本人自身が申請するのは、本人がたまたま在日していて在留資格認定証明書の発給を受けいったん出国し査証を取り直して改めて入国しようとする場合である。
④実際には、その外国人を受け入れようとする日本国内の企業や団体の職員や日本に居住する親族などの代理人が、本人に代わって、地方入国管理局同支局および各出張所に申請する。
⑤入国協会、国際研修協力機構の職員や行政書士で法務大臣が適当と認める者が申請の取り次ぎをすることが認められている。
⑥申請にあたっては、在留資格認定証明書交付申請書のほかに、入国し在留しようとする目的が入管法に定める在留資格(その在留資格に含まれる活動または身分・地位および法務省令で定める基準)に適合していることを立証する資料を提出しなければならない。
⑦資料は、在留資格ごとに具体的に定められているが、これだけの書類を準備すれば十分ということではなく、申請にかかる外国人の経歴や個人的事情によってさまざまな資料の提出を求められることがある。
◆身元保証人
入管の諸手続きの中で、しばしば身元保証人が必要とされ、身元保証人の身元保証書の提出を求められることがある。
永住申請と「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格に該当する者の各申請と一部の国での「短期滞在」ビザ申請について身元保証書の提出が必要である。
①外国人が日本に入国し在留しようとする場合、その外国人がどのような人物であるか(善良な人物であるか)、その外国人にとって未知の国である日本で生活していく上で不都合は生じないか、生活上不都合が生じないよう指導・援助してくれる人がいるかどうか、経済的に破綻が生じ生活に
困窮するような場合に助けてくれる人がいるかどうか、万が一の場合に生活費や帰国旅費を支弁してくれる人がいるかどうか、入国・在留を認めるかどうかを判断する場合の一つの決めてになる。
② このような問題を解消するため、これらの事柄を保証するのが身元保証人であり、このことを文章でもって保証するものが身元保証書とよばれるもので被扶養家族など生活力のない人について生活上いろいろと面倒をみてくれる身元保証人が必要とされる場合がある。
③身元保証人がしっかりしている場合は、その身元保証人を信頼して入国や在留が許可されることになる。逆に身元保証人がいない場合や身元保証人が責任遂行能力に欠けると判断される場合には、入国も在留も許可されないことがある。
④身元保証人になったものの、その後、保証した事項について、責任を履行できない事情が生じたり、意思を変更したりして保証した事項の履行を拒否した場合でも、義務違反ないし債務不履行ということで直ちに法律上の責任を追及されることはなく、その責任は道義的責任にとどまる。
5.在留期間の更新
日本に在留している外国人は、現に許可されている在留期間の延長(法律上は更新という)を申請して、許可を受けることができる。
①在留期間の更新の申請は、在留期間の到来する前(在留期間の切れる1か月前から10日くらい前までが望ましい)に、居住地の近くの地方入国管理局・支局・出張所に出頭して行う。
②申請は、本人自身が行うのが原則であるが、特定の場合、たとえば本人16歳未満の場合には家族による代理申請が認められる。自分の所属する会社や団体、学校や研修期間の職員、または入管協会、国際研修協力機構の職員で法務大臣が適当と認める者、または法務大臣が適当と認める行政書士による申請取り次ぎが認められている。
③在留期間の更新の申請は、現に付与されている期間と同じ期間の更新を申請するのが普通であるが、現在よりも長い期間の在留期間を許可してもらいたいとき(たとえば、現在1年の在留期間を3年とするように)は、その希望を申請の窓口で申しでることができる。ただし、希望は必ずかなえられるわけではない。
④在留期間の更新は、法務大臣が更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可することができるものとされている。したがって、申請すれば誰でも自分の希望する期間が常に許可されるものではない。
「短期滞在」の在留資格で滞在している者については、病気で入院したとか特別の場合でない限り、その在留資格の性質上、在留期間の更新は認められない。
⑤在留中に好ましくない活動を行ったり、素行に問題があったり、在留資格に属する活動は行っているものの所期の成果をあげていない者、たとえば、留学生として在学しているものの欠席が多いなど名目的に在学しているにすぎない場合や、企業の経営は形式上続けられているものの実質的活動が停止に近い状況にある場合には、学業や事業の維持を理由とする在留期間の更新は許可されない。
⑥日本人の配偶者として戸籍の身分事項欄に記載されていても、実質が伴わない場合(偽装結婚であったり、婚姻関係が破綻して離婚状態にある場合など)には、在留期間の更新は認められない。調停や訴訟の係属中は在留期間の更新を認めるか、またはその期間を「短期滞在」の在留資格に切り替えて在留が認められることがある。
⑦在留期間の更新の許可があると、旅券に在留期間更新許可の証印がおされる。旅券を所持しない場合は在留資格証明書が交付され、これに在留期間更新許可の証印が押される。
⑧外国人登録をしている場合は、在留期間更新の許可を受けた場合には、許可の日から14日以内に、居住地の市区町村の長に変更登録の申請をすることが必要である。
6.在留資格の変更
外国人は、上陸・在留の許可に際して決定された在留資格をもって在留することとされているが、在留中に在留目的を変更したり、在留目的を達成した(または失った)ため他の在留資格に変更せざるをえな場合がある。例えば、「報道」の在留資格を付与されて在留している外国人が在留資格「人文知識・国際業務」に該当する職に就こうとする場合とか、「留学」の在留資格を付与されて在留中の学生が学業を終え、「医療」とか「法律・会計業務」に該当する職に就くことを希望する場合である。
①在留資格の変更を希望する場合には、地方入国管理局・支局・出張所に在留資格の変更を申請することができる。この在留資格の変更は在留期間内であればいつでも(変更を希望したときに)申請することができる。
②在留資格の変更の許可を受ける前に、事実を先行させて新しい在留資格に 属する活動を始めた場合、それが就労活動であったりすると資格外活動として違反を問われることがあるので、在留資格の変更許可を受けてから新しい活動を行うこと。
③在留資格の変更は、法務大臣において在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、法務大臣の裁量により、これを許可することができるとされており、申請すればだれでも許可されるものではない。法務大臣が在留資格の変更を許可するに当たっての基準は定められておらず、また、「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」も適用されない。おおむね同基準省令に準じた基準で判断されている。
⑤在留資格「短期滞在」から他の在留資格への変更については、やむをえない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとすると定められている。
単に入国を急ぐ事情があったからとか、手続きをしらなかったからとか、手続きが面倒だったかたとかの理由で在留資格認定証明書の交付を受うけずにまたは入国目的に適合する査証を申請せずに、便宜に的に簡単に発給を受けられる短期滞在査証を取り付けて来日して、上陸後に日本に在留する必要がある等の事情があることを理由に在留資格の変更を申請しても、許可されない。また、査証免除により上陸を許可されて在留している者も同様である。
⑥日本の大学受験を目的として、短期滞在査証で入国し、入試に合格した場合には、「留学」の在留資格認定証明書をとって、いったん帰国し、「留学」の在学資格で査証を受けて入国するのが普通であるが、やむをえない特別の事情にあたるものとして帰国しないで「留学」の在留資格への変更がみとめられることもある。
7.就労資格証明書
日本で職に就き働こうとする外国人が、入国法の規定上働くことができる在留資格(または法的地位)を有していること、または特定の職種に就くことができることを証明する文書で、法務大臣が発給するものをいう。
①この証明書は、外国人がすでに有する在留資格にもとづき発給されるものであって、労働許可制や雇用許可制のような許認可にもとづくものではない。
②在留する外国人は、日本国内で、①就労することを全く禁じられている人(入管法別表第一の三,四)、②与えられた在留資格の枠内で就労が認められる人(同別表第一の一、二、五、)、③何ら制限なく自由に職業を選ぶことのできる人(同別表第二)、の三つに大別することができる。
③外国人自身は、旅券に押された上陸許可の証印や在留資格変更の許可証印等在留許可の各種証印の在留資格欄や外国人登録証明書の在留資格欄に在留資格や法的地位が記載されていて、自分が上の①②③のどれに該当しているか、また、就労が可能かどうかをしることができる。
④しかし、外国人を雇用する側(個人や企業)では、旅券や外国人登録証明書の表示のみによって、就労できる外国人か、就労させようとする職業や職種につくことができる外国人であるかを簡単に見分け、判断することは容易でない。
⑤本来、就労することには何ら支障もない外国人が就職を断られたり、逆に在留資格がよくわからなかったことを口実に就労できない外国人を雇用するなどの法違反を惹起し、助長するような好ましくない事態が生じることが懸念される。そこで、在留外国人から希望(申請)があれば、地方入国管理局・支局・出張所において、その旨を証明する文書すなわち就労資格証明書を交付することとされた。
⑥就労資格証明書の交付申請は、あくまでも任意のものであり、就労する外国人は必ずこの証明書をもっていなければならないものではない。
この証明書をもっていれば、就職に際して自己が就労可能の在留資格または法的地位を有することを証明でき、本人にとっても雇主にとっても好都合であるといえる。
8.再入国許可
① 外国人には出国の自由が保証されており、日本から出国する場合は、入国審査官から出国の確認(旅券に出国の証印)を受ける以外に、特別の手続きを必要としない。外国人が日本から出国してしまえば、日本との関係はなくなり、日本在留中に与えられていた在留許可(在留資格)も出国と同時に消滅してしまう。
②外国人がいったん日本から出国した後に再び日本に戻り、それまでの在留目的と同じ目的をもって在留しようとする場合、例えば「投資・経営」の在留資格を付与されている者が、海外視察や商談のため一時に出国し数週間後に日本に戻る場合、「教授」や「留学」の在留資格を付与されている者が観光や訪問のため一時的に出国し1~2週間後に再び日本に戻る場合「永住者」や「定住者」が海外の学校に留学する目的で出国し学業によりそれまで与えられていた在留資格を消滅させてしまうと、数週間後あるいは留学を終えた後に日本に戻るためには新たに査証を取り付けてこなければならない。
③新たな査証申請のために種種の書類を準備して在外の日本領事館などに出頭して申請しなければならず、また「投資・経営」とか「定住者」に相当する査証の発給を受けるためには大変面倒がかかるのが通例であり、しかも、査証が発給されても出国前と同じ安定した在留資格が再び付与される保証はない。特に「永住者」の在留資格は新規に入国する場合には付与されない。
④このような外国人の不便を解消するため、出国前にあらかじめ再入国許可をとりつけた場合には、この許可があれば再び入国するときに査証を必要とせず、再入国したときに出国前の在留資格および在留期間が継続するように制度が定められ、これが再入国許可制度である。
a再入国許可の申請は、地方入国管理局・支局・出張所において行う
b再入国許可制度は、再入国した後も出国と同じ在留目的で在留すること、出国前の在留期間内に再入国することが申請の前提条件である。
c再入国許可は、旅券に再入国許可の証印を押して行われる
d再入国許可の有効期間は、最大限3年。また残りの在留期間が3年に満たない場合にはその在留期間まで。たとえば、3年の在留期間のある人で残りの在留期間が2年6か月であれば2年6か月とされ、残りの在留期間が8か月であれば8か月になる。
e再入国許可は、一回限り有効なものと、再入国許可期間内は何回でも使用(再入国)できる数次有効なものとがある。
※退去強制(国外追放)について
国家は、国際慣習法上外国人を受け入れる義務を負うものではなく、外国人を受け入れるか否か、受け入れる場合どのような条件で入国させるかを自由に決定できる権限を有する。在留中に外国人についても国家にとって好ましくない時由があればその在留を否定し、場合によっては強制力を用いて国外に退去させる(追放する)ことも可能とされている。
①不法入国者、不法残留など入管法の規定に違反して違法な状態で在留している場合。
②適法に在留している場合でも、在留中の活動、行為に好ましくないものがあり、引き続き在留させることが相当でない場合。たとえば、刑罰法令違反売春その他の関係ある業務に従事した者、資格外活動の許可を受けないで収入や報酬を受ける活動を行った者、不法入国する事をあおり、そそのかし、助けた者、日本国の利益または公安を害する行為を行った者など。
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【外国人研修生受け入れ制度】
1.外国人研修制度
外国人研修制度は、開発途上国への国際貢献と国際協力を目的として、日本の技術・技能・知識の修得を支援する制度である。
「法務省出入国管理関連統計」によると、外国人研修生の入国は年々増加しており、2005年で83,319人、そのうち、財団法人国際研修協力機構(JITCO)が支援した研修生総数は57,050人(団体監理型:49,480人、企業単独型:7,570人)となっている。(2006年度版JITCO白書より)入国する外国人研修生の国籍は、中国が55,156人と全体の66.2%を占める。(2005年) ほかにインドネシア、タイ、ベトナムなどからの受け入れもある。(wikipedia参照)
(1)外国人研修制度の推進団体である財団法人国際研修協力機構(JITCO)は、研修生・技能実習生の受入れを行おうとする、あるいは行っている民間団体・企業等や諸外国の送出し機関・派遣企業に対し、総合的な支援・援助や適正実施の助言・指導を行っている。また、研修生・技能実習生に対し、その悩みや相談に応えるとともに入管法令・労働法令等の法的権利を保障し、研修・技能実習の成果向上、研修生・技能実習生の受入れ機関と送出し機関等を支援している。1993年には、「学ぶ活動」である研修に加えて、「労働者として」実践的な技能・技術を修得するための技能実習制度が導入され、現在、研修・技能実習併せて最大3年間の滞在が可能となっている。なお、技能実習は、公的評価が可能な63職種116作業に限定されている。
(2)理念と基本枠組み
「外国人研修生」は、民営または国公営の送出し機関から送出されて来日し、日本側の受入れ機関において研修する。研修生の滞在期間は、基本的には1年以内である。
開発途上国への技術移転を確実に行うため研修計画が作成され、研修生はこれにそって研修する。その後、国の技能検定基礎2級相当に合格する等、所定の要件を満たした場合には、同一機関(会社)で実践的な技術習得のために雇用関係の下で更に2年間滞在することが可能となる。これを技能実習といい、研修・技能実習と合わせると最長3年間の滞在期間となる。
受入れ方式は大きく二種類に分かれ、事業協同組合や商工会議所等がそのメンバーである企業等と協力して行う研修生を受入れる形態を「団体監理型」といい、受入れ機関の合弁企業・現地法人・一定の取引先企業等から企業単独で受入れる形態を「企業単独型」という。
受入れが可能な研修生数は、原則として、受入れ企業の常勤職員20名に付き、研修生1名である。ただし、「団体監理型」では、受入れ可能な人員の枠が緩和されている。近年、「団体監理型」による研修生の受入れが拡大しているが、問題点も多い。
(3)制度の問題点
近年では研修生の急増に比例するように人権侵害や事件が多発している。また、制度の趣旨と実態の乖離も指摘されている。いわゆる3K職種など日本人労働者を確保できなかったり、中国などの外国製品との価格競争にさらされている中小企業が、本来の目的である国際貢献ではなく、低賃金の労働力確保のために本制度を利用するケースが目立ち、研修生の中にも技能修得ではなく「出稼ぎ」として来日する者がいる。
法務省は2007年12月26日に「研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針」を改訂した。本指針に違反する行為があれば、3年間の研修生受け入れ停止などの処分を受けることとなる。
(4)制度改正の動き
高まる批判を背景に2006年12月には規制改革・民間開放推進会議が答申において、2009年の通常国会までに研修生保護に関する法案を国会に提出するように求め、改革への取り組みが本格化した。
2.研修資格と処遇
(1)入管法上の在留資格は「研修」です。研修生は、18歳以上の外国人であることなどの要件があります。特に団体監理型研修の受入れの場合には「現地国の国・地方公共団体からの推薦」「日本で受ける研修と同種の業務に従事した経験」などが追加で要求されます。
(2)受入れ機関は研修生に対し研修内容、研修時間、研修手当等に関する処遇について文書で通知しなければなりません。研修は、受入れ機関の通常の労働時間内に実施することが適当であることから、原則1週40時間を基準としてください。時間外・休日研修は許されていません。
研修手当は、研修生が我が国滞在中の生活に要する実費(食費、衣料費・教養娯楽費・電話代等のその他雑費)として支給されます。本人の往復渡航費、住居費、研修実施費用、保険料等は原則として受入れ企業等が負担します。 研修生は労働者ではないため、研修中に事故や疾病が発生した場合、労災補償は受けられません。このため、研修中の事故・疾病に備え、民間保険への加入や研修に係る安全衛生対策を講じることが受入れの条件となっています。JITCOは、損害保険会社と契約し、研修生専用の割安な保険を提供しています。 また、パスポート等は研修生本人に所持させます。